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尼崎市出屋敷の内科・脳神経内科・リハビリーテンション科・在宅医療・訪問診療・精神科・形成外科の「はらクリニック」
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- positive health -
当クリニックにおいても取り入れている『ポジティヴヘルス』とは、2011 年にオランダの家庭医から研究者となったマフトルド・ヒューバー(MachteldHuber)氏によって、医学誌[BMJ(British Medical Journal)]に発表された健康についての新しい概念です。
その『ポジティヴヘルス』という概念では、健康を次のように提案しています。
社会的、身体的、精神的な問題に直面したときに適応し、本人主導で管理する能力としての健康
(Health as the ability to adapt and to self-manage, in face of social, physical and emotional challenges)
これは、健康を静止した「状態」とするのではなく、それが個人や社会で変化させられる「動的」 なものであり健康を「能力」として捉え直しており、病気や障害があっても、周りの力などを支えにして、気落ちすることなく人生を前向きに歩いていけること、その力こそが健康とする捉え方です。
そして、マフトルド・ヒューバー(MachteldHuber)氏は、健康を単純に『健康という状態』としてではなく、『健康という能力』があれば人生の困難にぶつかっても乗り越えられると捉え直しました。
そしてこれをコンセプトとして『ポジティヴヘルス』と名付け、このコンセプトを大規模な調査で裏付けて発展させた論文を2016 年に再びBMJ に発表しました。
ポジティヴヘルスは、以下の6次元で構成される『幅広い健康』の概念であることが特徴です。
・身体の状態
・心の状態
・生きがい
・暮らしの質
・社会とのつながり
・日常の機能」
この6つの次元を6軸として、それぞれ0~10までの点数で図示し自分の状態を把握するのに役立つ「クモの巣」というツール(レダーチャート)を考案されました。このツールは、自分の感覚を軸に記す主観的なものでありますが、点を結んだ内部が現状での本人の健康感を示すものとなります。重要なことは、このチャートは現状の健康感を示すものであり、この数値が高くとも必ずしも健康ではないということです。あくまでも、本人自身が今どんな状態か把握し、どうなりたいか、そのためにはどうするのが良いか、ということを可視化し本人自身で考え、実現していくためのサポートツールです。
ヘルスケアにおいて、この「クモの巣」というツール(レダーチャート)を通じて、以下の3要素によって『ポジティヴヘルス』は構成されています。
① このツールを通じて患者は人生の振り返りを行う。
② 医療従事者は患者にとって大切なものは何か、またそれを得るためには何を変えていかなければならないか、本人と共に探る。
③ そして患者本人が選ぶ現実的なアクションを本人主導で実現させていく。
何よりも本人主導が徹底していて、本人が自分にとって大切なこと(生きがい)を発見するまで医療従事者は「方向づけ」をせずに、ひたすら耳を傾けるというスタンスであることがもっとも重要なことのひとつであるということです。つまり、医療・介護・福祉の現場において専門職の方々は、あくまでサポートであり、主体は本人にあるというわけです。
1947年に採択されたWHO憲章では、前文において「健康」を次のように定義しています。
「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。(日本WHO協会訳)」
この健康の定義は、いまも世界中でひろく使われています。
特に、『健康』という言葉だけをイメージした場合、単に病気ではなかったり弱っていなかったりと、肉体的に良好な状態というイメージが先行し『健康になる』となると、そういった状態に戻すというふうに考えてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、『ポジティブヘルス』では『健康』とは目的ではなく、本人が大切と考えること(生きがい)を達成するための手段と位置付けることで、健康観が変わるだけでなく、医療や支援技術の意義も変わり「治療」とは「正常に戻す」行為ではなく「疾患や障害に適応する能力を支援する」意味になると捉えています。ヘルスケアにおいて、医療者が『ポジティヴヘルス』という概念を身につけることにより、患者にとって大切なものを支援する役割に変わってきます。こうしたアプローチや『ポジティヴヘルス』を土台とした取り組みを、当クリニックでも取り入れています。
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